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2019.11.15

#00065 特殊な贈与 ②

相続税の節税のために生前贈与を活用することは一般的です。
しかし贈与税は税率が高く、その利用には注意を要します。
そこで、贈与とは全く関係ない、思いもよらないことが、贈与となってしまう場合があります。
会社を経営されている自営業者の方などが、知らずに贈与とみなされてしまう場合などの「特殊な贈与」について、解説したいと思います。

以下のようなケースをご紹介したいと思います。
※このブログでは、③、④、⑤を紹介しています。
①、②:ブログ【 #00064 特殊な贈与 ① 】 をご参照ください。
⑥、⑦:ブログ【 #00066 特殊な贈与 ③ 】 をご参考ください。

① 知らぬ間に贈与税が課税される贈与
② 財産と借金を同時に贈与する「負担付贈与」
③ 低い価格で売ってあげた場合の「みなし贈与」
④ 会社に財産を贈与する場合
⑤ 会社から贈与を受けた場合
⑥ 法人への遺贈
⑦ 相続税が課税される贈与

③低い価格で売ってあげた場合の「みなし贈与」

贈与は、“無償(タダ)で財産をあげること“という意識が強いかと思います。
ですが、税務では有償で譲渡しても、贈与とみなす場合があります。それが『 みなし贈与 』 です。

父が、数十年前に500万円で買った土地が、現在の時価が2,000万円になっている。
息子に、1,000万円で譲渡したというような場合が、みなし贈与となります。

このような場合、2,000万円の価値の土地を、1,000万円で買ったため、差額1,000万円分が、贈与とみなされます。

つまり、息子は、贈与税を払わなければなりません。
(2,000万円-1,000万円)-110万円)×30%-90万円=177万円

著しく安い金額とは、時価の80%未満が目安と言われています。

親族だからなどの理由で、特別に安い金額で譲渡するとみなし贈与となってしまう場合もあります。
親族間の不動産の売買は、このみなし贈与にならないようにご注意ください。

④ 会社に財産を贈与する場合 ~ 社長から法人への贈与 ~

会社経営者が、ご自身の相続税節税のために、会社に賃貸している不動産を、生前に自社に贈与することは、よくあります。

◇贈与者(社長)の課税関係

  不動産を時価で譲渡したものとみなして、時価と取得費との差額に譲渡所得税が課税されます。

◇受贈者(会社)の課税関係

  財産を時価で受け入れた、無償でもらったとして受贈益(収益)が計上されます。

  そのため、課税所得として、法人税が課税されます。

⑤ 会社から贈与を受けた場合 ~ 法人から社長への贈与 ~

法人は営利目的の集団であるので、贈与すること自体が目的外の行為として課税されます。
例えば、時価1億円、取得価額1,000万円の土地を社長に贈与した場合は、以下のようになります。

◇ 会社に法人税課税

 贈与により値上がり益が実現したと考えて、
 1億円-1,000万円=9,000万円に法人税が課税されます。
 不動産の喪失損は「役員賞与」として処理され経費になりません。
 更に賞与なので、所得税課税の対象になります。

◇社長に個人所得税課税

 贈与された1億円は役員賞与として給与所得課税されます。

 

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