平成31年4月1日より教育資金の一括贈与に対する非課税措置に改正がありました。
この制度は、30歳までの子供や孫に対する1,500万円までの教育資金の贈与が
非課税になるという制度です。
何が変わる?
●2019年3月31日までだった期限が2021年3月31日までと2年延長されます。
●今までは受け取る側(受贈者)に所得制限が設けられていませんでしたが、
今回の改正により前年の合計所得が1000万円以上であった場合、
本制度の適用が出来なくなりました。
●受贈者が在学中であれば教育資金の非課税措置の期間を40歳まで延長できるようになりました。
●これまでは習い事などに対する支払いも教育資金として認められていましたが
23歳以上の者についてはそれが認められなくなりました。
教育資金の範囲について
教育資金とはどういうものかは、以下のように定義されています。
(1) 学校等に支払われる費用
(2) 学校等に関連する費用(留学渡航費等)
(3) 学校等以外の者に支払われる費用で、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を
受講するために支払われるものに限定されます。
◆学校等
幼稚園や小学校、中学校、高校、大学、大学院、専修学校、各種学校のほか、認定こども園や保育園など
◆費用
入学金や入園料、授業料や保育料、施設整備や検定料、教材費や修学旅行費、給食費、通学のための定期券代や留学のための渡航費用なども対象となります。ただし、細かな規定があるので、要確認。
改正の狙い? ~贈与者死亡時の相続税の課税価格への加算対象~
これまでは、本制度を利用した贈与であった場合、
子や孫が30歳に到達する期間終了までの間に贈与者が死亡した時でも
相続時点の管理残額は相続税の課税対象とはなりませんでした。
しかし、この点を利用して、余命いくばくもない資産家が、大勢いる子供や孫に
教育資金の一括贈与を行うことによって「1,500万円×直系卑属の数」に相当する相続財産を減らすという相当な節税が可能でした。
そこで、改正案では死亡前3年以内に信託等された部分のうち、死亡日までに使いきれなかった分については相続税を課すことになりました。相続税の課税価格の加算対象となります。
相続税の課税価格に加算されない場合
ただし、贈与者の死亡時に
(1)受贈者が23歳未満の場合
(2)学校等に在学している場合
(3)教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受講している場合
以上3つのいずれかの要件に該当する場合は、相続税の課税価格の加算対象とはなりません。
まとめ
ご存知の方も多いかと思いますが、年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりませんが、
本制度を利用すると1度で多くの贈与を行うことができるメリットがあります。
しかし、用途が教育に限定されたり、領収書の提出が必要などの手間がかかるデメリットがあります。
また、年間110万円までの非課税枠がある暦年贈与だけで十分なケースも少なくありません。
この場合、用途が限定されない、領収書の提出の必要がないのがメリットです。
本制度を利用する場合は、一括贈与が必要かどうかをよく検討することが重要となりますので、
教育資金の贈与をお考えの方はぜひ参考にしてください。