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お役立ち情報ブログ

2019.6.11

#00043 相続時精算課税制度について

専門用語ですし、聞きなれない言葉かもしれません。
平成15年の税制改正で「2500万円までの贈与なら無税に!」という衝撃的なデビューをしました。

その内容は、
「60歳以上の父母から20歳以上の孫への生前贈与であれば、2500万円までは贈与税ゼロです」
というものです。
本来、発生する贈与税を、相続まで猶予する、贈与税を、相続税と一緒に精算(納付)するという制度です。

22年分を先取り!?

本来贈与税は年間110万円までは非課税です。
ところが2500万円までとは・・なんと大盤振る舞い!?

その理由は2500万円÷110万円=22.7年。22年分の110万円を先取りしているだけです。
つまり2500万円の現金を生前に子供さんに贈与して、その時は税金が発生しなくても、
贈与者である父母が亡くなった時には、相続税申告にその2500万円を足して計算してくださいというものです。
なあんだ、結局一緒じゃないか!とお思いでしょうが、メリットはあります。

メリット1

もともと相続税がかからない父母であれば、生前の早いうちに財産の移転ができます。
もらう子供たちにとって生活がしやすくなる可能性が出てきます。

よく言われるのが、子供がマイホームを購入する際に父母から2500万円を頭金として贈与する方法です。
これならば贈与した時にも贈与税はかからず、父母の相続発生時にも税金はかからないことになります。

メリット2

値上がり予測の財産を安いうちに父母から子供に贈与すると、
相続発生時にその値上がり差額を子供が無税で享受することができます。
値が上がりやすいものには、不動産とか上場株式とか親族経営の中小企業株式があげられます。

メリット3

賃貸不動産などを生前に贈与しておけば、贈与後の不動産収益を父母から子供に移すことができます。
毎年の所得税を軽減することができ、相続発生時にもその分の遺産を減少させることもできます。

メリット4

中小企業の2代目経営者は自分の努力で会社を盛り上げてゆきます。
なので、会社の株式が他の相続人に渡るのは納得できません。
相続発生時には、会社の株を取得する権利は全ての相続人に与えられてしまいますので、
早めに自分のものにしたいと考えます。
この場合、相続時精算課税は有効です。

ここまでメリット(いい事)しかあげていませんが、もちろんデメリットもあります。

デメリット①

贈与税非課税枠の毎年110万円が使えなくなります。
2500万円までは無税ですが、超えた分に対して20%課税されます。

例えば、子供さんに3000万円を援助した場合には、(3000万円-2500万円)×20%=100万円の贈与税となります。 そして相続時精算課税は父母の相続発生時まで続きますので、父母の生前中は、
父母からの贈与については、常に気を付けていなければなりません。

2500万円の枠を使いきっているにもかかわらず、110万円以内だから大丈夫だと勘違いして贈与してしまい、贈与税を追徴された話をよく聞きます。この場合には贈与税申告、納税が必要になります。

デメリット②

父母の相続発生時には、忘れずに、相続税の対象財産に相続時精算課税を利用した財産を加えなければなりません。
相続税は累進課税です。財産が多くなることで、税率が高くなってしまうかもしれません。
過去に贈与したはずの財産ですが、他の相続財産とあわせて、相続税が課税されます。

なので、相続時精算課税は節税にはならないケースが多いです・・・。

相続時精算課税の活用事例(住宅取得資金贈与との併用 )

注意すべきは、相続時精算課税は父母それぞれで2500万円が非課税枠ですが、
住宅取得資金贈与は子や孫がそれぞれで700万円が非課税枠であるということです。

ややこしいので例を挙げると

父親から4000万円、母親から1000万円の住宅購入に際し援助を受けた場合

父親から分
 4000万円-700万円-2500万円=800万円
 800万円×20%=160万円の贈与税

母親から分
 1000万円-2500万円=0円
 相続時精算課税枠残り1500万円

母親からの援助については、住宅取得資金贈与は使えません。
共に贈与税申告(翌年3月15日まで)をお忘れないように行わなければなりません。

相続時精算課税制度は、メリット、デメリットがあります。
活用を検討される方は、専門家に相談されることをお薦めします。