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お役立ち情報ブログ

2019.3.28

#00009 子がいない場合の相続

Q:私たち夫婦には、子どもがいません。
  自分が亡くなったら、財産はすべて妻が相続するのでしょうか?

A:子どもがいない場合の法定相続人は、配偶者がすべて相続するのではなく、
  配偶者と、第2順位である直系尊属(父母・祖父母)、
  もしくは、第3順位である兄弟姉妹も法定相続人となります。
  すべてを妻に相続させたいのであれば、遺言書を残しておくなど、
  事前に準備しておく必要があります。

◆直系尊属(父母・祖父母)がいる、ご健在の場合

子どもがいないご夫婦で、その一方が亡くなられた場合、
残された配偶者と直系尊属(父母・祖父母)が、法定相続人となります。
一般的には、親より子の方が先に亡くなるというケースは、あまりないと思いますので、
直系尊属(父母・祖父母)が、法定相続人となる場合は、珍しいと言えると思います。
若くして亡くなられた場合や、その方のご両親が長生きされてご健在という場合です。
残された配偶者とすれば、義理の父母などと遺産分割協議を行うことになります。

冒頭の質問で例示すると、夫のご両親がご健在であれば、妻一人で相続するのではなく、
妻:2/3、父:1/3×1/2、母:1/3×1/2 という法定相続分となります。

もし妻にすべて相続させたいのであれば、遺言書を残す、父、母に相続放棄をしてもらう、
遺産分割協議において、すべてを妻が相続することを了承してもらわなければなりません。

◆兄弟姉妹が法定相続人となる場合

直系尊属(父母・祖父母)がすでに亡くなられており、子がいないご夫婦でその一方が亡くなられた場合は、その亡くなられた方の兄弟姉妹がいれば、その方々が法定相続人となります。
残された配偶者とすれば、義理の兄弟姉妹と遺産分割を行うことになります。

冒頭の質問の場合で、夫の父母、祖父母はすでに亡くなっており、兄と妹がいたとすると、
妻:3/4、兄:1/4×1/2 妹:1/4×1/2 という法定相続分となります。

この場合も、妻に相続させたいのであれば、遺言書を残す、兄弟姉妹に相続放棄をしてもらう、
遺産分割協議において、すべてを妻が相続することを了承してもらわなければなりません。

◆甥、姪が法定相続人となる場合も!?

子がいないご夫婦で、その一方が亡くなった場合で、その方の直系尊属(父母・祖父母)は亡くなられており、兄弟姉妹がいましたが、すでに亡くなられていた場合は、兄弟姉妹の子、亡くなった人からすると甥、姪が法定相続人となります。
兄弟姉妹の代襲相続として、甥、姪が法定相続人となります。
この場合、残された配偶者は、義理の兄弟姉妹の子と、遺産分割協議を行うことになります。
義理の兄弟姉妹の子となると、疎遠になっていたり、どこに住んでいるのか知らないなんてこともあるかもしれません。
そのような状態で相続となってしまった場合、残された妻は面倒なことになります。

例えば、子がいないご夫婦で、夫が死亡。
父母・祖父母はすでに死亡、兄、妹がいたがこちらもすでに死亡。
兄、妹には、それぞれ子が2人いた場合、
 〇 妻:3/4
 〇 兄の子(AとB):1/4×1/2×1/2
 〇 妹の子(CとD):1/4×1/2×1/2
という法定相続分となります。
甥、姪がすでに死亡していた場合、その甥、姪の子への代襲相続はありません。

◆遺言書を残しても、すべて妻が相続できない!?

前述のように、妻にすべてを相続させたければ、遺言を残す必要があると言いましたが、
たとえ遺言を残したとしても、妻以外の法定相続人が、【遺留分】を請求すると、
遺言があったとしても、妻がすべてを相続できない場合があります。
遺留分とは、法定相続人が、民法で定められている最低限相続できる財産のことを言います。
ただし、この遺留分は、兄弟姉妹にはありません。

冒頭の質問の場合、妻にすべてを相続させると遺言があり、直系尊属(父母・祖父母)がご健在で、
そのいずれかがその遺言に納得がいかなかった場合は、遺留分を請求される可能性があります。
妻からすると、義父や義母(姑)から、遺留分を請求されることになり、非常に揉めそうな話です。

直系尊属(父母・祖父母)の遺留分は、6分の1です。
仮に相続財産が1億とすると、遺留分は1,667万円となり、これだけ金銭を支払う必要があります。

これまでは、遺留分減殺請求と言っていましたが、
民法改正により、2019年7月1日以降の相続では、遺留分侵害額請求となります。
先に述べたように、兄弟姉妹(代襲相続した甥、姪も)には、遺留分はありません。
もし妻にすべて相続させたい場合で、直系尊属(父母・祖父母)がすでに亡くなっているなら、
遺言を残しておけば、兄弟姉妹から遺留分を請求される心配はなくなりますので、
争続回避に非常に有効な方法の一つです。

◆まとめ

・子どもがいないご夫婦は、誰が法定相続人となる可能性があるのか確認した方がよい。
・配偶者にすべて相続させたいのであれば、遺言書を残しておいた方がいい。
 (夫、妻、双方が遺言書を残す。)
・兄弟姉妹の子(甥や姪)が法定相続人となる可能性がある。
・直系尊属(父母・祖父母)には、遺留分がある。
・兄弟姉妹には、遺留分がない。