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お役立ち情報ブログ

2019.8.30

#00053 延納について

相続税も含め、国税は金銭で一括で納付することが原則です。
しかし、相続税の場合、一定の要件を満たし、税務署長の許可を得られた場合、年賦による分割で納付することができます。
これを、『 延納(えんのう) 』と言います。今回は、その『 延納 』について解説していきたいと思います。

① 延納制度の概要

国税は、金銭で一時に納付することが原則です。
しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
この制度のことを延納といいますが、この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
だたし、ローンのように簡単に分割払いにできるわけではありません。いくつか要件があります。

② 延納の要件

次に、延納の要件を見てきたいと思います。要件は、以下の4つあります。
この要件をすべて満たした場合に、延納申請をすることができます。

1.相続税額が10万円を超えること
2.金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、
  その納付を困難とする金額の範囲内であること。
3.延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。
  ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を
  提供する必要はありません。
4.延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、
  延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、
上記の要件は、延納の申請することができる要件です。
申請後、税務署長が許可しないと延納することはできません。
延納できる、許可してもらえる要件ではありません。

③ 担保について

延納のためには、担保を提供しなければなりません。
相続、遺贈で取得した財産に限らず、もともと相続人が所有している財産でも担保にできます。
次に掲げられているものに限られます。

(1) 国債及び地方債
(2) 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
(3) 土地
(4) 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
(5) 鉄道財団、工場財団など
(6) 税務署長が確実と認める保証人の保証
担保として対象となるのは、上記の通りです。

国債や有価証券などは、換金して納付というのが一般的なため、ほとんどの場合は、土地や建物ということになります。

その土地や建物について、もう少し掘り下げて解説します。

・不適格な場合は、担保になりません。

勝手に売却などされないように、抵当権を設定します。
そのため、抵当権が設定できない土地は担保になりません。
違法建築された建物が立っていたり、違法利用している土地、相続人間で所有権を争っている、係争中の土地、共有となっている土地(共有者全員が、持分全部を提供する場合を除く)などは、担保になりません。
抵当権を設定するため登記費用も負担しなければなりません。その費用を負担できないような場合も担保にはなりません。

・延納しようとする相続税、利子税以上の価値がある

税務署側としては、延納を許可し、延納で納付してもらっても、その延納分も納付できくなった場合、その土地や建物を売却して、回収することになります。
そのため、延納しようとする相続税と、利子税(利息)を支払えるだけの価値のある土地でなければ担保になりません。

・売却(処分)が容易である土地

延納の支払いが滞ったときに、その土地を売却して、税金に充てるわけですから、換金性がないと担保になりません。 
無道路地などの土地は、たとえ相続税、利子税以上の価値があったとしても、売却できる可能性が低いという判断になれば、担保として認められません。

④ 申請時の必要提出書類

延納の申請をするには、以下の書類を納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに提出する必要があります。

・相続税延納申請書
・金銭納付を困難とする理由書
・相続税延納申請書別紙(担保目録及び担保提供書)
・不動産等の財産の明細書
・担保提供関係書類

※担保財産により異なりますが、土地の場合は、
 担保登記事項証明書、固定資産税評価証明書、抵当権設定登記承諾書、印鑑証明書 です。

期限を過ぎてからの提出は無効です。
被相続人の死亡時における住所地を管轄する税務署へ申請します。

延納申請期限までに担保提供関係書類を提供することができない場合は、
『 担保提供関係書類提出期限延長届出書 』を提出することにより、1回につき3か月を限度として、
最長6か月まで担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。

⑤ 延納期間と延納利子税

延納のできる期間と延納にかかる利子税の割合については、その人の相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、おおむね以下の表のようになります。
なお、各年の延納特例基準割合が7.3%に満たない場合の利子税の割合は、次の算式により計算される割合(特例割合)が適用されます。

              国税庁 タックスアンサー No.4211 相続税の延納 ページ内の表を一部を改略して表記

この表の特例割合は、平成30年1月1日現在の 「延納特例基準割合 」 1.6%で計算しています。
したがって、「 延納特例基準割合 」の変更があった場合には、特例割合も変動します。

⑥ 延納の審査

延納申請書が提出された場合、税務署長は、その延納申請に係る要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3か月以内に許可又は却下を行います。
ただし、延納担保などの状況によっては、審査の期間が最長で6か月まで延長される場合もあるようです。

◆ 延納許可

 延納申請の内容が法律の定める要件を満たし、延納担保財産が担保として適当であると判断された場合には、延納が許可されます。
延納が許可されると、『 相続税(贈与税)延納許可通知書 』が、送付されます。許可された分納期限、分納税額等が記載されています。

◆ 延納却下

延納申請が却下されると、『 延納申請却下通知書 』が送付されます。
却下された相続税(贈与税)は、速やかに納付する必要があります。
この納付すべき相続税(贈与税)はには、法定納期限の翌日から却下の日までの期間についての利子税が、却下の日の翌日から本税の完納の日までの期間について延滞税がかかります。

まとめ

ここまでご紹介してきたように、相続税が高額だから・・・などと安易な理由で、延納できるわけではありません。
金額の多寡に関わらず、財産があるなら、納付するようにということになっています。

そのため、延納という制度はありますが、利用できる人は少ないです。
国税庁が公表している相続税の延納処理状況等というデータによると、
平成30年度で、延納の申請があったのが、1,289件だったそうです。そのうち、許可が下りたのが、890件だそうです。
申請件数は、ここ数年は1,200件ほどから2,000件ほどのようです。
平成29年中に亡くなった人で、相続税の課税対象となった被相続人が11万2千人と公表されています。
申請件数でみても、かなりの低い利用率となっています。

・相続税も含め、国税は金銭で一括で納付することが原則だが、延納という制度がある。
・延納には要件がある。
・延納には担保が必要。利子税もかかる。
・延納申請後、審査があり、延納できるのか可否が決まる。
・延納は、安易にできるものではない。

以下もご参考下さい。
国税庁:延納・物納申請等 
「相続税・贈与税の延納の手引」(PDFファイル/4,988KB)