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お役立ち情報ブログ

2019.6.20

#00045 配偶者の税額の軽減

配偶者には、
『 相続税がかからない。』
『 相続税は少なくなる。』
『 配偶者控除がある。』 などと聞いたことありませんか?
これは【配偶者の税額の軽減】という制度の効果、特徴が、
一部勘違いされて広まっていると思われます。

確かに、配偶者には、相続税がかからない、少なくなる特例制度があります。
【配偶者の税額の軽減】という制度です。

 ・相続後の配偶者の生活を保障するため
 ・被相続人の財産を、配偶者として一緒に築き上げたと考えることができるため
 ・相続した配偶者自身の相続も、近いうちに起こると考えられるため

などの理由から、この制度が設けられていると思われます。
今回は、その配偶者の税額の軽減について解説していきたいと思います。

配偶者の税額の軽減の概要

被相続人の配偶者が、遺産分割や遺贈により取得した正味の遺産額が、
次のいずれか多い金額までは、相続税がかからないという制度です。

 1)1億6千万円
 2)民法上の配偶者の法定相続分相当額

わかりづらい表現ではありますので言い換えると、
『 配偶者は、最低でも1億6千万円まで相続税がかからない。』 となります。

また、法定相続分までであれば、いくらでも相続税はかからないということです。
具体例で解説します。

パターン ①
被相続人の正味の遺産総額が2億円 法定相続人は、妻と長男の2人の場合

 法定相続割合は、妻、長男、それぞれ1/2ずつとなります。
 2億円なので、妻、長男、それぞれ1億円ずつというのが、法定相続分となります。

 この法定相続分で遺産分割し、相続税申告すると、妻の相続税は0円となります。
 長男の相続税の課税対象となる相続財産は、1億円です。(相続税は、2,300万円) 
 ですが、妻が1億6千万円、長男が4千万円という割合で遺産分割した場合でも、
 妻の相続税は0円となります。

 法定相続分相当額を超えていますが、1億6千万円なので、
 この配偶者の税額の軽減の適用を受け、相続税は0円となります。
 長男の相続税の課税対象となる相続財産は、4千万円となります。
 (相続税は、600万円)

パターン②
被相続人の正味の遺産総額が10億円 法定相続人は、妻と長男の2人の場合

 パターン①同様、法定相続割合は、妻、長男、それぞれ1/2ずつとなります。
 10億円なので、妻、長男、それぞれ5億円ずつというのが、法定相続分となります。
 この法定相続分で遺産分割し、相続税申告をした場合でも、妻の相続税は、
 0円となります。
 1億6千万円は超えていますが、法定相続分相当額を超えていないので、
 0円となります。
 この場合の配偶者の税額の軽減の上限額は、5億円ということです。

この【配偶者の税額の軽減】という制度は、上手に活用すれば、相続税の節税に活用できます。
そのため、適用を受けるには一定の要件があります。
次は、その要件についてみてみましょう。

配偶者の税額の軽減の要件

適用を受けるには、要件があります。

 ① 戸籍上の配偶者であること
 ② 相続税の申告期限までに、遺産分割が確定していること
 ③ 一定の書類を添付し、相続税の申告書を提出すること

— ① 戸籍上の配偶者であること —

適用を受けられる配偶者は、戸籍上の配偶者でなければなりません。
籍を入れていない、内縁関係の配偶者は、適用できません。
戸籍上の配偶者であれば、婚姻期間は問われません。

② 相続税の申告期限までに、遺産分割が確定していること

 この配偶者の税額の軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算することになっています。
 そのため、原則、相続税の申告期限までに遺産分割が確定していなければなりません。
 被相続人が亡くなってから10か月以内に遺産分割協議を終わらせる必要があるということです。

 ですが、申告期限までに遺産分割が確定できなくても、一定の手続きをすることで、適用を受けることができます。

 一度、仮の遺産分割(例えば法定相続分で分割)をした形で相続税の申告書を申告期限までに提出します。その際に、【 申告期限後3年以内の分割見込書 】を添付します。
 (この際は、配偶者の税額の軽減の適用はありません。)
 申告期限から3年以内に、遺産分割が確定したら、申告書の訂正(更生の請求)してもらうことで、配偶者の税額の軽減の適用を受け、納めすぎた相続税を還付してもらうことができます。

 遺産分割協議(相続人同士の話し合い)ではまとまらず、訴訟が起こされているなどのやむを得ない事情により、 3年以内(相続税の申告期限から3年を経過した日)に遺産分割が確定しない場合は、税務署に【 遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書】を提出し、承認を得られた場合は、その事情がなくなるまで延長が認められます。

 その後、やむを得ない事情が解消(裁判での判決が確定した場合など)したら、その日の翌日から4か月以内に遺産分割を行い、更生の請求をすることで、配偶者の税額の軽減の適用を受け、納めすぎた相続税を還付してもらうことができます。

— ③ 一定の書類を添付し、相続税の申告書を提出すること —

この配偶者の税額の軽減の適用を受けるには、相続税の申告書を提出しなければなりません。
例え、相続税額が0円だったとしても、申告しなければなりません。
その申告の際には、以下の書類を添付しなければなりません。

 ・税額軽減の明細を記載した相続税の申告書
  (申告書 第5表 配偶者の税額軽減額の計算書)
 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
 ・遺言書の写し(遺言書がある場合)
 ・遺産分割協議書の写し
 ・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議の写しを添付する場合)

配偶者の税額の軽減を適用する際の注意点

この配偶者の税額の軽減には、落とし穴があると言われています。
安易に配偶者の税額の軽減を活用してしまうと、結果的に税金が高くなってしまう場合があります。
1億6千万円、もしくは法定相続分相当額までなら、相続税がかからないからといって、配偶者がたくさん相続すればいいと安易に考えてしまってはいけません。
なぜかといいますと、その配偶者が亡くなったとき(2次相続といいます)の相続税が高くなってしまう場合があるからです。

高くなってしまう理由は2つあります。

1つ目は、相続税は、累進税率となっているからです。

その財産が多くなればなるほど税率が高くなる可能性があります。
2次相続の場合、もともと配偶者がもっていた財産と、相続した財産をあわせた分が、配偶者の相続財産となるわけです。
配偶者の財産が少ないとか、相続した財産を、配偶者が亡くなるまでに使う、減らせるのであればいいですが、配偶者も財産があるとか、配偶者の相続も近いうちに発生するとなると、配偶者の相続時にも、相続税がしっかり発生する可能性もあります。
そうなると、結果として配偶者の方はあまり相続しない方がよかったという場合もあります。

2つ目は、相続人の数が減ってしまうからです。

父、母、長男の場合で例示します。
1次相続(父が亡くなった際)の法定相続人は、母と長男の2人です。
2次相続(母が亡くなった際)の法定相続人は、長男1人です。
相続税の基礎控除は、法定相続人が多ければ多いほど多くなります。
また、相続税率は、各人の課税価格で決まります。
課税価格が同じ1億円でも1人で1億円を相続するより、2人で1億円を相続した方が、相続税が安くなります。
具体的に計算してみます。
1人で、1億円だと、課税価格×30%-700万円となり、相続税は2,930万円です。
2人で、1億円(5千万円ずつ)の場合は、(課税価格×20%-200万円)×2人分となります。
980万円×2人分となり、1,960万円となります。
このように、相続税は、法定相続人が多ければ多いほど、相続税総額は低くなる仕組みになっているのです。

このように、配偶者の税額の軽減は、活用次第では、損をしてしまう場合もあるのです。
活用する場合は、2次相続のことも考えて、トータルで相続税がどうなるのかを検討する必要があるのです。

まとめ

・配偶者が相続すれば、最低でも1億6千万円までは、相続税がかからない。
・内縁関係では適用できない。
・原則、申告期限までに遺産分割を確定させる必要がある。
・相続税が0円でも、申告が必要。
・2次相続も想定しないと、結果高くなってしまう場合がある。