お亡くなりになった方の「税金」の手続きとしては、その手続き期限の順番からいくと、
① 亡くなってから4カ月以内に行う所得税の「準確定申告」
② 亡くなってから10カ月以内に行う「相続税申告」
の順番で「税金」の手続きを進めていく事になります。
最初に行うことになる所得税の「準確定申告」では、ケースによって「納税額」または「還付額」が発生することになりますが、この「準確定申告」で発生した所得税の「納税額」と「還付額」は、その次に進めていく税金の手続きとなる「相続税申告」ではどのように影響してくるのでしょうか?
相続税申告への影響
「準確定申告」は、1月1日からお亡くなりになるまでの期間の所得税の申告・納税の手続きです。
言わば、お亡くなりになった方の「納付すべき義務」、あるいは「還付金を受け取ることのできる権利」ということになります。
このお亡くなりになった方の「義務」「権利」は、そのまま「相続税申告」にも影響してくることになります。
忘れないように
「準確定申告」により発生した所得税の「納税額」は、その後の「相続税申告」の計算において「債務控除」として、相続財産から「控除」していくことが出来ます。
一方、「準確定申告」により発生した所得税の「還付額」については、「相続税申告」の計算において「未収入金」として、相続財産に「加算」する必要があります。
「相続税申告」は税理士に依頼したけど、その前段階である所得税の「準確定申告」は、相続人の方々が自分で申告手続きを進めたようなケースでは、この「控除」と「加算」をうっかりして忘れてしまいがちです。
ご注意ください。
還付加算金の取り扱い
また、「準確定申告」により所得税の「還付金」が発生するケースでは、その金額等によっては「還付加算金」と呼ばれる、銀行預金でいうところの「受取利息」のようなものが付いてくることがあります。
「還付金」そのものは、お亡くなりになった時点において確定している「権利」となる為に、「相続税申告」において財産に「加算」していく必要がありますが、この「還付加算金」は「加算」する必要はありません。
理由として、「還付加算金」はお亡くなりになった時点で確定していた「権利」ではなくて、亡くなった後に行う所得税の申告手続きにおいて事後的に発生するものであるため、お亡くなりになった方の相続財産には馴染まないとする考え方があるからです。
注意としては、税務署から振り込まれてくる「還付金」の入金額は、この「還付加算金」も一緒になって同時に入金されてくることです。
「相続税申告」を行う際は、その入金額総額をもって「還付金」だと勘違いして相続財産への「加算」をしてしまわないようご注意ください。