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お役立ち情報ブログ

2019.5.14

#00033 未支給年金について

未支給年金は相続財産に含まれる?

公的年金を受け取っていた方が亡くなられた場合、制度上、どうしても未支給年金というものが発生します。
亡くなられた時点でまだ受け取っていない年金や、亡くなられた後に振り込まれた年金のことを、
【 未支給年金 】と呼ばれています。

では、この未支給年金は、相続財産に含まれるのでしょうか?
紛らわしい話で、よく聞かれます。今回は、この未支給年金について解説していきたいと思います。

公的年金の支給の仕組み

国民年金や厚生年金など公的年金は、年6回に分けて支給されます。(指定口座への振込)
偶数月である2月、4月、6月、8月、10月、12月です。
この偶数月の15日に、前月と前々月分がまとめて支給されます。

例えば、12月に支払われる年金は10月~11月の2か月分です。
公的年金の受給権(もらえる権利)は、死亡した月の分までです。

日割り計算は行われず、1日に亡くなっても、月末に亡くなっても、その月の分は支給されます。
偶数月に亡くなると、1か月分(もしくは3か月分)、奇数月に亡くなると、2か月分、
亡くなられた時点で支給されていない年金があるということになります。

具体的に例示します。

① 4月20日に亡くなられた場合

  生前に受給した最後の年金は、4月15日に受け取った2、3月分です。
  亡くなった月の分まで受け取れるため、この場合は、4月分の1か月分が未支給となっています。

②4月10日に亡くなられた場合

  年金の支給月である15日より前に亡くなると、3か月分が未支給となります。
  4月15日に支給される2、3月分と、4月分の3か月分が未支給年金となります。
  実際には、4月15日の支給分は、亡くなった方の預金口座に振り込まれます。
  この分も含めて未支給年金となります。

②5月20日に亡くなられた場合

  生前に受給した最後の年金は、4月15日に受け取った2、3月分です。
  亡くなった月の分まで受け取れるため、この方は4月分と、5月分の2か月分が未支給となります。

年金受給者が亡くなったら、届出が必要

年金受給者が亡くなったら、【 年金受給権者死亡届(報告書)】というものを、遺族が提出しなければなりません。

この届出により、年金の支給が停止されます。
先ほどの4月20日亡くなられた場合ですと、手続きが間に合えば、6月15日に、亡くなられた方への支給(振込)は行われません。
※この場合、未支給年金となった年金は、遺族の方が、未支給年金を請求することになります。

届出の提出が遅れた場合や、②の4月10日や③の5月20日に亡くなられた場合のように、
支給日までの日数が短い場合は、亡くなられた預金口座へ振り込まれることになります。

また、4月20日亡くなられた場合でも、死亡届の提出が遅れると、
6月15日に4月、5月分が振り込まれる可能性もあります。
そうなると、5月分は返却しなければなりません。
死亡届をしない限り、支給は停止されません。いつまでも亡くなった方の預金口座に振り込まれてきます。

受給権がない年金は、後日返却しなければなりませんので、
死亡届である【 年金受給権者死亡届(報告書)】は、必ず提出しましょう。

未支給年金は、誰のもの?

では、未支給年金は、誰のものになるのでしょうか?
公的年金は、年金受給者とその家族の生活を保障する目的であるため、被相続人と生計をともにしていた人に請求権があります。
その順位は以下のように定められています。

 (1)配偶者
 (2)子
 (3)父母
 (4)孫
 (5)祖父母
 (6)兄弟姉妹
 (7)その他 (1)~(6)以外の3親等内の親族

生計をともにしていた遺族が複数いた場合、上記の順位が上位の人が受け取ることになります。
もし、亡くなられた後に、振り込まれてきた年金があったら、その分は上記の方のものになります。
年金が振り込まれてきた預金口座から、その年金分だけは上記の方に渡さなければなりません。 この年金分も含めた預金残高で遺産分割してはいけないということになります。

未支給年金は、相続財産にならない

冒頭の答えです。
未支給年金は、相続財産になりません。
亡くなられた後に振り込まれた年金も、振込はされず未支給年金として請求した分も、相続財産に含まれません。
未支給年金は、請求する遺族の固有の権利であるため、相続財産にも含まれないということです。
相続財産にならないため、相続税はかかりません。(後述しますが、所得税、住民税は課税対象です。)
相続財産に含まれないということなので、遺産分割の対象にもなりません。
また、相続放棄をした遺族でも、未支給年金は受け取ることができます。

未支給年金は、受け取った方の一時所得

前述のとおり、未支給年金は、相続財産になりません。
受け取った方の一時所得となり、所得税、住民税の課税対象となります。
ですが、一時所得には、50万円の特別控除があります。
受け取った年に、他の一時所得とあわせて50万円を超えなければ、所得税、住民税はかかりません。
確定申告も不要です。
50万円を超えていれば、確定申告をしなければならず、所得税、住民税がかかるということです。

遺族年金は、すべて非課税

これまで解説してきたのは、公的年金の老齢基礎年金や老齢厚生年金などのことです。
公的年金には、紛らわしいですが、遺族年金というものもあります。
もし亡くなられた方が、遺族年金を受給していた場合、遺族年金にも未支給年金があります。
もし遺族年金であれば、上記で説明してきたように相続財産に含まれませんし、遺族年金は、もともと所得税、住民税は、非課税なので、遺族の方が遺族年金の未支給年金を受け取った場合も同様に非課税となります。

未支給年金すべてが、相続税に含まれないというわけではない!

ここまで読んでみると、未支給年金はすべて相続財産に含まれないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、そうではありません。

年金と呼ばれているものの中には、公的年金でない”年金”があります。

保険会社と契約する個人年金や、勤めていた会社から退職年金や死亡慰労金などが、”年金”で支給される場合もあります。これらは、相続財産に含まれる場合もありますので、一括りに考えていけません。 長くなってきましたので、これらについては、また別の機会に解説するようにします。

まとめ

・公的年金は、偶数月に、前月分と前々月分の2か月分が振り込まれる。
・公的年金の未支給年金は、亡くなった時点では、1~3か月分ある。
・年金受給者が亡くなった場合は、年金受給権者死亡届(報告書)を提出しなければならない。
年金受給権者死亡届(報告書)の提出が遅れると、受給権のない年金が振り込まれる可能性がある。
 受給権のない年金は、返金しなければならない。
・公的年金の未支給年金は、相続財産に含まれない。(受け取った人の一時所得となる。)
・遺族年金は、非課税(相続税、所得税、住民税)
・公的年金以外の未支給年金は、相続財産に含まれる場合もあるので、注意が必要。